吉田潮連載① リアルからバーチャルへ 日本の性の来し方行く末

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Tokyo, Japan view of Shibuya Crossing, one of the busiest crosswalks in the world.

2020年で48歳になった。この世代はどうしても「バブル世代」とひとくくりにされがちだが、私自身はバブルのうまみを知らない。千葉県北西部の比較的都会に住み、東京へもヒョイと行ける恵まれた環境でありながら、わりと牧歌的で地味な思春期を過ごした。背伸びして渋谷や六本木に通うこともなく、かといって、ドのつくヤリマンライフを送ったわけでもない。ヤンキーの名産地として有名な千葉県だが、ヤンキーになる才覚もなかった。

斜に構えてはいるが、セックスを謳歌できるほど成熟もしていない。性欲は人一倍あったものの、うまく消化できずにいた。同級生や友人でも恋人がいる子は、そりゃもうヤリまくっていた。学校でも土手っぺりでも、なんなら授業をフケて家に戻ってヤっていた。また、早熟な子は大人の男と付き合い、少しずつ世界が広がっていく。行動範囲が広くなり、いろいろな経験値が増していく彼女たちを、私は指をくわえて見ていた。うらやましいなと思った。

同世代でも年上との付き合いが多い人は、いわゆるバブリーな生活を体験しているようだ。バブリーってのは、要するに「金に糸目をつけずに、物欲と性欲を混同して、なんだかんだと競い合う恋愛を楽しむ」ってことかな。男性はいかにお金をかけてデートをしてセックスまでもちこめるか、女性はいかにお金をかけさせてお姫様扱いされるか。好景気に浮かれたゲーム感覚ではあるが、男も女もとにかく直接対決というか、生身でぶつかっていたような気がする。

TOKYO – NOVEMBER 13: Billboards in Shinjuku’s Kabuki-cho district November 13, 2014 in Tokyo, JP. The area is a nightlife district known as Sleepless Town.

いつの頃からだろう、恋愛やセックスが生身じゃなくなったのは。そういえば、80年代後半の高校生の頃に「ダイヤルQ(キューツーって読むのよ)」というサービスがあった。もともとはNTTが始めた情報提供サービスだったが、アダルトな目的にうっかり好都合。女性は無料、男性は有料とすれば、中高生が興味本位で試すには格好のシステムでもあった。そういえば、「テレクラ(テレホンクラブの略)」ってのもあったな。完全に「出会いの場」を提供する、新形態の風俗店。「女性は気軽にかけられる」というのが問題でもあった。

実は、友達と遊び半分でかけたことがある。高校生のときだ。というのも、当時はまだ町中のいたるところに公衆電話ボックスがあった。ガラスで囲んだ電話ボックスには、とにかくいろいろなモノがべたべたと貼ってあった。極彩色の名刺サイズの紙には、半裸の美女が微笑んでいる。風俗店へ誘うものもあれば、サラ金・闇金の広告もある。その中に、ダイヤルQやテレクラもあった。電話ボックスに行けば、欲にまみれた大人の世界が無限に広がっていたのだ。

愛がメラメラバイブ ¥2,255(税込)

文 / 吉田潮(コラムニスト)

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